子どものころ、近所に駄菓子屋が2店舗あった。
駄菓子屋というか、駄菓子とかアイスとかパンとかタバコとか、
そういうちょっとしたものが売られている個人のお店。
片方のお店は、すごく優しいおばちゃんがやっていて、
子どもが小銭片手に駄菓子を買いに行っても、いつもニコニコ対応してくれた。
おそらく、私の初めてのおつかいはこの店だったと思う。
で、もう一方のお店は、ちょっと怖いおばちゃんがやっていて、
子どもが小銭片手に駄菓子を買いに行くと、
怖い顔をして、つきっきりでじっと見張られる。
なので私は、いつも優しいおばちゃんのお店の方に、
お菓子を買いに行っていた。
でも、歳を重ねるごとに、だんだん行かなくなってしまった。
怖いおばちゃんのお店はというと、家からすぐ近くなので、
買い物はめったにしないものの、ほぼ毎日お店の前を通る。
そして、月日は流れて、
ふと気づくと、優しいおばちゃんのお店は閉店していた。
自動販売機は置かれていたけど、
店舗部分はふさがれていて、家だけになっている。
一方、怖いおばちゃんの店は健在。
置かれてる商品の種類は減ったけど、ずっと開けてくれている。
怖かったおばちゃんも、今ではすっかりかわいらしい感じになって、
いつもニコニコしている、優しいおばあちゃんになった。
ある日の夕方、犬の散歩がてら、
優しいおばちゃんのお店があった家の前を通った時のこと。
電気もついていない玄関のドアの前で、
髪が伸び放題でボサボサになっているおばあさんが、
暗闇の中、気配なく、ただ、ボーっと立っていた。
びっくりして思わず二度見してしまった。
そこでさらにびっくりしたのは、
そのおばあさんが、あの優しいおばちゃんだったこと。
おばちゃんの面影はあるものの、すっかり別人だった。
家に帰って母に聞くと、どうやら認知症らしい。
そんな風に、しょっちゅう外で立っているとのことだった。
隣の家に娘さん一家が住んでいるらしいので、
心配はないみたいだけど、なんかショックだった。
あの優しいおばちゃんも、ずっとお店を続けていたら、
あんな風にはならなかったんじゃないかと思ってしまう。
今では、「怖いおばちゃんのお店」の明かりが、
私の心の明かりになっている。
いつまでも長生きしてお店を続けてもらいたい。
ほんまそれ!・・・・・
ブログランキングに登録しています。
ポチッと押して頂けるとかなり喜びます。
お、おねがいします・・・